それから その1

 人が社会で生きていく以上、どんなに大切な人が亡くなったとしてもいつまでも泣いてはいられません。葬式を挙げなければならないからです。これが結構大変で、泣いてなんかいられませんよ(笑)。
 某葬儀会社に積み立てしていたので、交通の便が悪そうですがそこにする事にしました。これがすんなり決まって良かったです。だって、この後が滅茶苦茶大変だったのですから……。

 亡くなった以上、父は病人ではありません。という事は、病院を出て行かなければなりません。これが結構大変です。そのまま葬儀会場に運び、そこで仮通夜って事にすれば一番楽なのでしょうが、心情的には一旦は家に連れて帰りたいのです。ですが、我が家はマンションの4階でエレベータで運ぶにしろ、階段を上がるにしろ大変な事になります。おまけに、母は看病、私は仕事で忙しくて、父に帰ってきてもらっても寝る場所もありません。
 一度は家に帰ってもらいたいという息子2人(私と弟)の意見に押され、母は親戚数人と一緒に家に帰ります。ちなみに私は母に付いて行って家の片づけを、弟は残って式場の段取りを、おじいさんは山へ芝刈りに

 で、片づけている内に弟から入電。

色々大変だから、そのまま式場に連れて行く

 ……ま、結果的にはそれが正しかったんだけどね……。

 いやホントね、これからが大変よ。葬式には何人来るか? とか、お供えする花とかは親戚の誰に頼む? とか、焼香順はどうする? とか、実にどうでも良い(だが、現実に生きる人間にとっては重要)な事を決めなければいけません。焼香順なんて、本当にどうでも良い事なんだけどなぁ? でも、それがかなり重要だったりする。父も母も大家族の末っ子で、両方とも兄姉がほぼ健在。こうなると、父方の本家がうるさくて(笑)。
 しかも、両家共に一番上が足腰弱っている上に、メモリの、ハードディスクの調子がかなり……(汗)。こうなると大変ですよ。
 でもねぇ、父が順番通りに逝ってくれればなんの問題もなかったんですけどねぇ……。

 その辺のめんどくさい事は、弟がほとんど仕切っていました。なんかね、間違った完璧主義者の血が騒いだらしく、完璧な葬儀を行いたいらしいです。私に言わせたら、どう頑張っても普通なら親の葬儀は生涯に2回しか行える機会がないのだから、完璧を目指すよりも大切な事があると思うのだけれど、どうも弟は別の価値観があるらしく、あーでもない、こーでもないと頭をひねっている。どっちが正しいかは誰にも分からない。ただ言えるのは、長男として妙な口を挟むよりは、やる気満々な弟に任せた方が色々と丸く収まるって事(笑)。それの方が楽ってのもあるんだけど(爆)、やりたい奴がいるんだから任せれば良いんじゃない? 意見を求められたら答えるんだし。

 でもまあ、この辺りの俺って本当に無能の極みだったなぁ……。