アニメ化に伴う取捨選択

 原作の方、取りあえず2巻まで読みました。感想としては、どんどん続巻が出るなら良い暇つぶしにはなるかな? って所でしょうか?(笑)。
 設定自体は面白いと思うのよ。宇宙戦艦の一騎打ちが書きたいそうで、そうなる状況を設定してあるのは感心するな。宇宙戦艦の値段が高すぎて、惑星国家レベルじゃ母星防衛用に1艦用意するのが精一杯。国連宇宙軍でも20隻程度だったかな? しかないそうです。そんな訳で、陣形組んでの艦隊戦は起こりづらいんです。主人公達が敵対する王国も10隻程の戦艦しかなく、彼らの母星も防衛する必要があるので、主人公達が乗る艦を複数の艦で取り囲む訳にいかないんだって。
 この設定自体に難癖つけるのは簡単ですが、それに関してはスルーします(笑)。だって、ミノフスキー粒子のおかげで近接戦闘する必要が発生し、そのせいで戦術汎用宇宙機器が主力兵器になるなんて大嘘なのに、そこは突っ込まないでしょ?(笑)。
 個人的には、兵器があるから戦争になるのではなく、戦争をする為に兵器があると思うので、金がないならそれなりの兵器(宇宙戦闘機や偵察艦)の数を揃える方向に進むと思うんだけどね。そう、まさに「インペリウム」方式だったりするんだが(笑)。まあ、兵器とは限りなく高価に、そして巨大になるのは必然なんだが……。

 その辺の社会状況は面白いんだけど、宇宙戦艦の設定は疑問が残るなぁ。最大射程90万kmのプラズマキャノン(プラズマの発射速度は光速の35%)が長射程兵器ってのはどうよ? その射程でプラズマを発射した場合、目標に到達するのに約9秒かかるんだぞ? 主人公達が乗る艦、アマテラスの最大加速が10G。その加速力を相手も持っているとして、その9秒間でどれだけ移動出来るか計算したのだろうか? 約4kmも移動する物体に、たかだか直径5m弱のプラズマを当てるんだから、もの凄く優秀なFCSを搭載してるんだろうなぁ(笑)。観測より、予知に近いシステムを搭載してるんだろう(笑)。
 そうそう、10Gも出す艦内に重力制御がないのってどうかなぁ? しかも、重力ブロックもあるようだから、そこはおそらく遠心重力方式なんだろうけど、最大加速するたびにそこは使用不可になると思うんだけどね……。

 何を言いたいかといえば、妙な所で科学考証に凝るもんだから、要らんぼろが出るって事。「凄い科学で戦います」で良いのにね(笑)。

 難癖つけた割には、結構面白く読んでいたりする訳なんだが……(汗)。戦争に金が掛かるという所は真実だし、艦を運用するのに銀河ネットワークのテレビ番組金を出してもらっている関係上、見栄えの良いおねーちゃんをブリッジ配置にしたり、そのおねーちゃん達を使ってCMや(補給で立ち寄った惑星の)観光ガイド番組を撮ったりするのはありそうな話である。金儲けが趣味と公言する補給長であるおねーちゃんが自分たちが行う戦闘を対象とした賭に投資したり、戦闘に勝利するたびにアマテラスを製造した星間会社の株が上がったりと、そこそこ納得出来る話が書かれています。

だけど……

 その辺の面白さを全く取り入れていないのがアニメ版ですね……orz。金儲けの話が描かれていないので、残ったのはシリアスな戦闘シーンぐらい。それも、モニタ画面メインで進みすぎるんで、イマイチ面白味がない。第一、戦艦の一騎打ちになる理由が説明されないんで、原作を知らないと(;・Д・)ハア? って感じになるし、その辺どうなのよ?(笑)。
 結論として、原作を知らないと脳内補完が出来ず、原作を知ってると物足りなさを感じてしまう、そんな作品かな。

 おそらく1クールアニメなんだと思うんだけど、短い時間で原作のうち、どれだけを消化出来るか悩んだんだろうね。で、削った所がお金云々だと。




で、失敗したと


(笑)

 まあ、その辺は難しいだろうね。未完の原作をベースにした場合、どうしたって全部出来る訳じゃない。どこかを活かし、どこかを棄てなきゃならない訳だ。それは原作アニメの宿命です。だからこそ、監督の手腕の見せ所なんですよね。その辺を上手くやったのは『プラネテス』と『ガンスリンガー・ガール』かなぁ? あ、『げんしけん』もそうだな。でも大抵の場合、原作付きアニメはぃっτょιの場合が多いからな……。一つや二つ、誰にでも心当たりがあるんじゃない? 期待していたら糞だったアニメって?(笑)




 あ、思い出したよ、コリア日日の事……orz。